徐々に遠ざかっていく。

あれを追いかけなきゃ、そう思っても足は重かった。



元々拒否されているのに、追いかけてもまた拒否られるだけだ。

むしろ今頃、部屋から自分が消えていると願うどころか確信しているだろう。

(ああいう人って思い込み激しいんだよね、ある意味)


心の底から毒ついて、カーテンを閉めた。

「きっと薄暗くてじめじめしたとこの方が好きなんだ」

イラッとして言葉を吐いた。

それから少しして寂しくため息をつく。


(なんか似てると思った…………)

「だから期待しちゃった……」


自分の心をそう整理してから、カーテンから手を放した。

(ここもいずれ見つかる。ヤナの期待通り、また姿をくらまさなきゃ)

そう思った時だった。


ドアの向こうに気配を感じた。

段々近付いてくるのが分かる。