「・・・っはっ!・・んはぁ・・・はぁっ・・・・・はぁ・・・」
夢を見た。
昔の夢を。
悪夢という名の夢を。
汗ばんだ体が気持ち悪い。
体が硬直して、しばらく動悸が激しかった。
落ち着いて外を見ると、まだ太陽は昇りきっていなくて、朝の早いサラリーマンがあくびをして通り過ぎていった。
『悪夢』
俺にとってあの夢は、悪夢同然だ。
姫との思い出をぶち壊す、悪夢。
今日で見るのは何度目だろう。
俺に何かを訴えかけるかのように、何度も、何度も・・・
あの悪夢の最後、
『俺』は殺される━━・・・
何度も、何度も、殺される・・・
姫の目の前で・・・
「・・・起きよ」
馴れてしまったと言えば嘘になる。
あの恐怖が、あの痛みが、今でも俺の記憶が覚えてる。
俺はそんな記憶を消すかのように、親が起きないよう静かにコーヒーを入れた。