「こんなとこで、何をしておるのじゃ」
「・・・」
「話してみろ」
「・・・」
「話すまで、我は動かぬぞ」
うざい。
どうせ、俺のような親に捨てられたら奴なんか、心ん中で笑ってんだろ。
見ろ、付き人のゴミでも見るような目を。
こんな奴らに話すことなんて無いだろ 。
「姫様、行きましょう」
「この様なものと、姫様であろうお方が、わざわざお話にならなくてもよいのですよ」
酷い言われようだな、話しかけたのはそっちだろ。
大体、なんでお前らみたいなやつらがいるんだよ。
こんな寒いとこぶらついてないで、さっさと城へ帰れ。
「そうじゃな・・・」
ほーら、優しい姫様だって、やっぱこんな汚い奴は、無視すんだろ。
しょせん、貴族なんてそんなもんだ。
大人だって・・・
汚いもの、いらないものはすぐ捨てる。
他人は、暴言を吐くか、鼻で笑うしかしない。
そんなの馴れてるが・・・
ふわっ
「・・・!」
なんだ?
俺の上に、何故か温かい布が被された。
「明日も来る、明日は絶対我に声を聞かせるのじゃぞ!明日になって死んでいたら、承知せん!生きておれよ!」
は?
女はそう言うと、さっさと歩いて行ってしまった。
付き人に俺に布を被した事を叱られていたが、しばらくしてから、真っ白な雪の中へ消えていった。