この胸に巻き起こる、悲しい憎悪。
溶かす術は、ただこの雪に埋もれ、死を待つこと。
『そち、ここは寒くないのか?』
死にかけの俺の前に、1人の女が話しかけてきた。
この日から、俺の日常は一回転する。
知らない、見たことのない女。
雪ように、肌が白く、透き通る目、それに反する温かい声は、俺の耳に深くえぐり込まれるように入ってくる。
「・・・」
誰だ?
この女・・・
俺に何の用?
付き人を何人も連れ、綺麗な着物を着、高価な髪飾りを身に付けていた。
多分、見るからにどこかの城の娘だろう。
そんな、姫とやらが何故俺に話しかける?
だが、『今の俺』には関係ない。