「何にやけてんの?」
「えっ…俺、にやけてた?」
「にやけてた」
嘘…恥ずかしー…
「えっと…やっと笑ったな…って」
「え?」
雪乃の表情が固まった。
「いや、いつもさ、俺といても退屈そう…てか、俺のこと嫌いなのかなって思ってて…」
「違うっ!!」
「!?」
雪乃はいきなり声を上げた。
大きな声だったので、周りの客がいっせいに注目する。
あんまり雪乃が顔を真っ赤にして言うから、俺は動けずにいた。
「あたし…友達、とか、初めてで…何て言ったら分かんないんだけど、…その、上手く喋れなくって、それで…直也達、あたしといても退屈なんじゃないかって思ってて…それで…そ、それでぇ…」
「え、ちょ!?」
雪乃はポロポロと大粒の涙を流し出した。
え、何っ!
何で泣いてんだ!?
周りの視線がいたい。
「実…は、友達って思ってんのは…あた、あたしだけなんじゃないかってぇ…そうしたら、何か余計に話せなくなっちゃって…っひっく…」
「…分かったから、泣くな…」
何だよ…そんなこと思ってたのかよ…
ばーか。