『もしもし?元気?』

久しぶりの優の声。

会いたいと思わせるような、私の大好きな声。

「元気。優は?」
『元気じゃねー…雪乃いないし…』
「…ばか」


こーゆー言葉は何回も聞いているけど、まだ照れくさくなる。


『学校慣れた?友達は?』
「できたよ!二人も!」

直也と大輝くん。

でも、優が心配するから男だってことは黙っておこう。

『そっか!仲良いの?』
「うん…!」

いいよ…ね?

向こうから来て勝手に喋ってるだけだけど。

あれ?

私ってなんか直也たちに素っ気ない態度とってるかも…

だって話しかけてくれても、私は返事するぐらい。

友達と話すのは何だか緊張する。

だから上手く喋れないだけなんだ。

直也達は、そんな素っ気ない私を、どんな風に思ってるのかな?

面白くない女、なんて思ってるかな…


『そっか…』
「寂しい?」
『そりゃあ…』

電話ごしでも、優が照れているのが分かる。

可愛いなー。

私はそんな所が好きなんだと思う。


『んじゃ、明日早いし…寝るな?』
「…うん。おやすみー」


ほら、少し優と話しただけで、不安だった気持ちがなくなった。

あの気持ちはきっと気のせい。


だってこんなにも優が好き。

電話だってしたい。

優と会いたい。


それが優のことがちゃんと好きって証拠。




━━じゃあアノ気持ちは何?



侵入者はいつの間にか、気づかないうちに、どんどん胸の中へと進んでいく━…



それはきっとまだ、気づいてはいけないんだ…