「あ、しまった…」
最悪。
携帯、教室に忘れてきたみたいだ。
「わり、先帰ってて」
「はぁ…しゃーねー。んじゃ、また明日な」
「おう」
俺はホームに入っていく大輝に手をふり、学校へと走った。
駅からだと、学校まで結構遠い。
急がないと門が閉まってしまう。
「ハァ…ハァ…」
普段からあまり走らないせいか、少し走っただけで息が切れる。
帰宅中の小学生や、サラリーマンの横をすり抜け、俺は学校についた。
校庭には野球部やサッカー部が、あと片付けをしている。
吹奏楽部の音はもう聞こえない。
オレンジ色の光が、校舎の窓に反射していて眩しい。
~♪
部活終了のメロディが流れ出した。
早く帰れと言っているかのような、そんなうざったらしい音楽。
「いそご…」