毎朝俺は7:50に家を出る。

学校までは10分かかる。
わりと近い方。




今日は朝から雪が降っていて寒い。

昨日部活で作った怪我に寒さがしみる気がして
マフラーを鼻までうずくめる。





「桜丘高校」と書かれた門をくぐる。


そして、朝から騒がしい2-Dに入る。






俺の席にはいつも・・・・・





「おはよ」



由井 茜が座っている。



「はよ」







俺はその人に恋をしている。






彼女はどうせ俺なんて興味ない。


ただ、俺の席のとなりの
広村 千鶴と喋るために座っている。







俺は勘違い男なのかもしれないが、
一度も恋をしたことがない俺にとっては




ドキッっとする。









「あれ、鳴海その怪我どーしたの??」


こーやって俺の微妙な変化に気づいてくれる。




「部活で、ちょっと」


「へぇー、痛そう」


「ちょっと、触らせてよ」

ドSの広村が言う。


「嫌だよ、いてぇーもん」

「えー、いいじゃん!!」


傷を触る。


「いってぇぇぇぇ!!!!」


笑う広村。

同じく笑う由井。



あぁ、もう本当に広村嫌い。

「由井、笑うなよ~」




俺が若干涙目になって言う。
広村は爆笑して笑い転げている。


ーガラ


「おっす!!鳴海おはよ」


「うぃーっす」





俺のイツメン。
健也と春樹とだ。
俺はなぜか同姓からモテる・・・。
実に複雑だ(-公-)
イツメンの人達は幼馴染。



特に春樹とは仲がいい。

「鳴海、レポートやった??」


「鳴海だからやってるっしょ」


春樹が俺を差し置いて言う。



「まぁ、やってある」

「やっぱりな~」


健也がうらやましそうな感じで言う。






俺はそういうのは必ずやるA型だ。


真面目にやってるつもりだが、


なぜか目だってしまう。





まぁ、イツメンからは行動がバカと言われ好かれている。
その辺は気にしていないが。







「あぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!」





広村は急に立ち上がって叫ぶ。






「レポートやってねぇー!!」

「レポートの存在忘れてたのかよ」






春樹がすぐさまつっこむ。
俺は春樹をつっこみの神様と呼んでいる。

「気付や!!」







健也も春樹に続きつっこむ。





「茜、写させてください><!!」

「あたしもやってねぇー!!!」

「「「おめーも気付や!!」」」



いともこんな感じである。



キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴り、
先生が入ってきて授業を始めた。


由井と話す事は少ない。
朝、由井が俺の席に座っていなければ
俺は由井と一切喋らなかった。

アドは知っている。
だが、あまりメールはしない。




授業中、由井はいつも携帯をいじっている。
ほら、今も。。。

あっ、送信している。

由井は送信するとき必ず携帯を両手でもつ。



ブーブーブーブー

ポケットの中に入れている携帯がなった。
えっ?!俺に??
焦って、携帯をポケットから取り出してみると

1件のメールが来ていた。








「件名:やほー
 本文:びっくりした??
由井のこと見つめすぎだから!!
    
              FROM春樹」



こ、こいつ・・・・・。
人の恋愛をバカにしやがって。。。

春樹は俺の席の真後ろ。
後ろを視界に若干入るくらい小さく振り向くと、
春樹がニヤニヤ笑っていた。



春樹は目が大きくて、まつげが長い。
ふわっとした髪でちょっとパーマがかかっている。
ちょっと女子っぽい。
性格は全然男だけど・・・((汗

女子達が前に「かわいい」と騒いでいたのを聞いたことある。


ブーブーブーブー

また、俺の携帯がなる。
今度は何だと想い携帯を開けると・・・


「件名:無題
 本文:見つめるだけでいいんですか??」

健也からだ。







どいつも、こいつも・・・。


いつも変わらずこんな感じに過ごしていた。










だから、あの日の出来事は今でもたまに夢だったんじゃないかと思う。

























それは2ヶ月前…


「鳴海、」

「ん?」

広村に話かけられた。


「あのさクリスマス暇?」

「なんで?」






クリスマスは一応暇だが、


「皆でクリパしない?」







クリパかぁ。
去年は男3人でやったっけなぁ((笑
すごい盛り上ったっけ…
はるか昔に感じる…
つい、ボーっとしていた





「ねぇ、聞いてる!?」







あっ、ヤベ。



「うっ、うん。
クリパだろ?行くよ!」




「本当!?じゃあ、25日の夜7時に集合ね」





あ…、やっちった…。
クセなんだよね…、
適当に答えちゃうの…
なんか広村喜んでるし…
春樹にも健也にも言ってるよ…。





「なぁ、眼鏡王子」
健也が言う。



「それやめい!」


「いいじゃん」


春樹も言う。







眼鏡王子ってのは
女子達が勝手につけた俺のあだ名。
俺はこのあだ名が吐き気がするぐらい嫌いだ。
女子達は俺のことを「眼が大きくて、小顔で、部活で焼けた肌がカッコいい」と言っていると春樹から聞いた。女子からどう思われてもいいが
ただ…、由井からどう思われているのかと言うのは気になった。




「眼鏡王子がクリパ行くんだね((笑」

「去年やったじゃね~か」

「あれは男子だけじゃん」

「そーそ!別名下ねた祭だけどな!!」

健也が笑ながら言う。
そーいやぁそうだった。


「けど、眼鏡王子何でクリパ行こうって思ったの?」

健也が不思議そうに聞く。


「そりゃ、由井が来るからっしょ!?」

春樹が俺が答える前に素早く言う。















え…?



「由井来るの!?」















俺の発言に2人が驚く。
2人は口を開けて顔を見合せている。そしてすぐに…




「あはは!!」

ゲラゲラ笑った。

失礼だろ…。
心の中で呟く。


「何!?知らないの?」

「何、テンション上がってんの!?」





ヒーヒー言いながら聞いてきた。
だから失礼だって…。




「本当だよ」








小さく言った。
したら、また顔を見合せて爆笑した。
なんなんだ…こいつら。

そして下校途中。
また、イツメンで帰っていた。
健也と春樹はまたさっきの事を思い出しては笑いの繰り返しだった。





「鳴海ー!!」








後から声をかけられた。
それは、広村…

…と、由井。

2人は走ってこっちに向かってきた。春樹が腕で俺の肩をグイグイ押してきたのが分かった。









「鳴海、アド教えて!!」








広村がゼーゼー言いながら俺に向かって言った。











「俺!?」

ちょっとびっくりした

「いいけど・・・」

ちょっと不思議そうに答えた。
春樹は健也になにか話している。

「本当?!赤外線でいい??」

といって、おき勉をしていて
軽そうなスクバを空け携帯をだした。

「よかったね」

由井が広村の耳にささやいてるのが分かった。
広村はやけに笑顔だった。
俺はこの意味が良く分からなかった。


ーーーーーそして交換。

交換をしている最中、由井と一瞬だけ目があった。
だけどすぐそらされてしまった。
なんだか切なそうな顔をしていた。
なんでだろう・・・??





「ありがう!!」

広村が元気に言う。

「うん。」

「今日、メールするね」

もう一回由井と目をあわせたくて見てみるけど
下をずっと向いていた。

「分かった。」

「じゃぁ、あたしらコレで」

「じゃあね」


広村と由井は去っていってしまった。

「俺らも行きますか」

春樹が言う。

「だな」


由井はどうして下を向いたままだったのだろう。
後ろを何気なく振り向くと・・・・









由井が俺を見ていた。







勘違いじゃない。
確かに俺だった。





そして由井はにっこりと俺に笑っていた。






だが、俺にはそれが泣いているようにしか見えなかった。