「いつもそればっかじゃん。」
「明日香?」
「壱は私のこと知ってる?」
「あすーー・・」
「私だけを見てる?」



いつも いつも”秘密”しか言わない。

私は壱のことちゃんと知ってるのに。
壱は、壱が出たTV全部見てることも、小悦全部買ってることも知らない。

TVを見て笑う壱を見て心を痛めていることも。
小説に出てくる女の人に嫉妬してるのも。

それを知らない壱。


「明日香。」
「なに。」
「さっきの人、原稿取りにきただけだから。」
「知ってる。」
「俺は知ってるよ。明日香のこと。」
「・・・」