『高峰 壱の書いてる小説の女の子さ、なんか明日香ににてない?』
『そう?』
あのトキの私は、壱の名前が出たことに大きく動揺していた。
”そんなわけない”って。

付き合い始めた時も、嬉しさが引いていったら、壱は自分を子供としてしか見てないんじゃないかって、心配した。

だからこそ、こわかった。
真っ正面から向き合えなかった。

なにかが壊れてしまいそうで。

いつも自分だけが。
一方通行の気がしてた。
寂しくて。
言えなくて。
苦しくて。

幸せなはずなのに、苦しくて。
その悪循環だった。