あれから一ヶ月、母と神田さんは結婚し‥私は兄弟二人の通う学校に転校する事になった。
なぜ転校しなきゃならないの?と聞いたけど、神田さんはニッコリ笑うだけで何も教えてはくれなかった。
「あそこの学校って偏差値が前の高校より高いですよね‥?」
母と二人引っ越した神田家は恐ろしい程に広く、豪華だった。
新しい部屋は何故か分からないけど、母の部屋より広く全てのモノが揃っている。
「よく分からないけど、もしそうだとしたら君が勉強を頑張れば良いだけの事だよ」
「‥で、も」
「君はもう私の娘だ、反抗するんじゃないよ‥息子達と変わらない様に接するからね」
神田さんはイメージが変わってしまった、良い意味でではなく‥悪い意味で。
母に向ける笑みも温かみがなくなり、亭主関白になってしまった感じだ。
「‥はい、康弘さん」
「康弘さんて呼ぶのは君の母親だけだ、お父さんと呼びなさい」
「‥‥‥‥っ」
リビングに居た私達は、重い重い空気の中に沈んで行くような感じだ。
「返事は?」
「‥はい、お父さん」
「反抗期だから仕方ない、なんせ年頃の女の子だからね」
ニヒルに笑うお父さん‥は、私を見ると鼻で笑い部屋に戻った。
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