「そうよ~!洸ちゃんのパパと幼馴染なのよぉ!」

「ねえ、だから桐埼洸汰は私の名前を知ってたの?」

ちげーし。
ま、そーいうことにしとこう!

「あ、おう」

「あ、でもなんで私ん家知ってるの?」

こいつ…
さっきから質問攻めじゃねーかよ!

「ママね、今日洸ちゃんのパパと洸ちゃんに会ってね
お家まで送ってもらったのよ~!」

「桐埼洸汰くん、本当?」

「あぁ」

「そっか!…今日はありがとう!」

「ん。じゃあな」


本当は俺が嘉川雛莉の名前を知ってる理由はそれでは
ないんだ…。

この前、突然親父に

「嘉川雛莉っていうお前の隣のクラスの女の子知っとるか?」

そう聞かれた。

「知らねー。なんで?」

「お前、この子の婚約者にならないか?」

親父はそう言いながら嘉川雛莉という奴の
写真を出して俺に見せた。

「は?なんでだよ!」

「この子の母親の嘉川美奈子は俺の幼馴染でな、
昨日たまたま会ったのじゃよ。そんでいろいろ話しとるうちに
そうなったんだよ」

この糞じじー説明になってねえよ!

「ヤダ。俺、こいつと1回しか喋ったことねーし
きっかけもねーえよ!」

「今すぐではない。少しずつでいい。考えといてくれ」

考えるまでもない。
俺はこいつの婚約者なんかにならない。

だが、親父にそう言われてから
廊下でちょいちょい通り過ぎた時に意識してしまう。
これは好きという感情ではないはす…。
ただたんに親父のせい…なのだ。

…!

もし今日あいつらに俺と嘉川雛莉が
喋りながら歩いてたの見られてたら
嘉川の身が。

まあ、見られてるわけねーよな!

=雛莉ver=

今日は色々あったけど、楽しかったかも!
明日も桐埼洸汰に会えるかな…?

って…!
なに私ってばあんな意地悪な奴に会いたいなんて
思っちゃってるんだろう…!