あの女…


完全に心が動いた。


そのあとも作業が困難を
極めて、もう何をどうし
たらこの現場を終えられ
るのか…


俺達五人は4月らしくな
い炎天下の中、猛烈に働
いた。


そして昼前、事態が急速
に動き出す。


「前の家の子、やたら綺
麗でしたね。羽田じぃの
言ってる事ホンマでした
ね」


神田のご機嫌な顔が、さ
っきの女の存在を掘り返
した。


「あ-あ…ぅちの嫁もあん
綺麗な子ならなあ」


神田には、最近子供が生
まれた。


ちなみに、嫁さんは天下
無敵の恐妻だ。


俺の嫁もだが


「おい、これ、前の家の
べっぴんから差し入れだ
よ。」

「はいはい羽田じぃ、分
かッッ…」



「「「「「ええ!?」」」」」


羽田じぃの手には四本の
ペットボトル


俺達は目を丸くした。


「暑い中、ご苦労様です
って笑顔で渡してくれた
ぞ。」


心臓が踊るのが分かった


あの子。