「田邊さん、緊急工事ら
しいっす。」


午前8時、斎藤が俺に耳
打ちした。


「また!?」


ここ3日、毎日何かしら
の緊急工事がある。


ガス屋も暇じゃない。


落ち着かない。


「どこで。」

「国道沿いの神辺です。
あそこ界隈の住宅街らし
いです」


厄介だ。


厄介すぎる。


周りの住人の、迷惑そう
な顔が目に浮かぶ。


「綺麗な姉ちゃんでもい
りゃあ、マシなんですけ
どねえ」


斎藤が見透かしたように
笑う。