「どうした?」

心配してくれてるのが伝わってくる。


「夏樹くんが…」

喋ったら泣いてしまいそうで口を閉じた。

夏樹くんはあたしを見て、思い出したようにハッとした。


「もしかして俺1人で歩いてた?」

あたしは小さく頷いた。


そんなあたしを見て夏樹くんはわりぃ、と言って頭を撫でてくれた。


「愛が楽しめそうなとこ考えてたんだよ。
…ごめんな」


さっきまで絶望感が占めていたあたしの心は嬉し過ぎて跳ね上がる。

「ごめんな」

撫でてくれる手が嬉しくていいよ、って言えない。