「瑞希……」

「え?」

「これからは“瑞希”って呼ぶからね?」

「あ、はい」

「瑞希も俺の事、“達也”って呼んでよ?」

「はい。えっと、た、達也」

「よし、いい子だ……で、思い出したけど、瑞希は今、下を向いてたよな?」

「あ…はい」

「しかも、昼に“ごめんなさい”って言ったよな?」

「私、言いましたか?」

「言った、言った」

「そうですか? という事は……」

『デコピン!』

二人で同時にハモった。


「悪いけど、ルールだからさ」

「はい」


達也は瑞希の肩に手を置き、体を少し乗り出して瑞希と向かい合った。

「じゃあ、行くよ」

「はい。あまり痛くしないでくださいね?」

瑞希はそう言うと、肩を竦めて目を閉じた。


(“痛くしないで”って、そんな事言われたら、変な想像しちゃうだろうが…

それにしてもコイツ、めっちゃ可愛いなあ。やべえ…、キスしたくなった。どうする? 止まんねえ…)

達也は顔を傾け、瑞希のぽっちゃりとサクランボのような唇に、自分のそれをゆっくりと近付けていった…