「迷惑かい?」

達也は瑞希の顔色を伺ったが、瑞希は驚いてはいるものの、嫌そうではないな、と達也は思った。

「君を守るには、この方法しかないと思ったんだ。(圭介から教わったんだけどな)」


「で、でも、そんな事、誰も信じるわけがありません」

「いや、信じさせるんだよ。さっきみたいにしてね」


(“さっき”って? ああ、そうか……)


瑞希は先程中庭で、達也に上着を掛けてもらった事を思い出した。通り掛かる人々からジロジロ見られ、恥ずかしかった事を。

ああいう思いをこれからもするのかと思ったが、嫌ではなかった。そんな自分が不思議ではあるのだが。