「そんな事、やめてください。もう過ぎた事ですから…」

そう言って懇願するような瑞希を見て、保健の先生が言った通りだなと、達也は思った。

「中山さんは悔しくないの? このまま泣き寝入りで…」

「私は大丈夫です。あの人達も、後できっと嫌な気持ちになったと思うんです」

「え? 中山さんって、優しいんだね?」

「そ、そんな事ありません」

瑞希は頬を赤く染めて俯いてしまった。


「それはともかく、もう二度とそんな事は起きないようにするからさ」


瑞希が恐れていた展開になってしまった。きっと達也はこう続けるのだろう。

“もう君に近づかないよ”と。

ところが、達也が続けた言葉は、瑞希の予想外のものだった……