少しの沈黙の後、呟くように瑞希は言った。

「もういいって、どういう事？」

「水を掛けられただけですから…」

消え入りそうな、小さな声で瑞希が言うと、

「違うだろ？ 殴られたり、蹴られたりしたんだろ？
体中に痣が出来てるって、保健の先生から聞いたぞ」

と、達也は諭すように言った。


「そうかもしれませんが、私に落ち度があったんだと思いますから…」

瑞希は、達也との事が原因で三人から責められた、という事を隠したいと思った。それは、達也に責任を感じでほしくないから。

なぜ達也に責任を感じてほしくないかというと、その事で達也が自分に話し掛けなくなる事が嫌なのだが、瑞希自身は、その感情にまだ気付いていなかった。