「へえー、そうだったんだ……。じゃあさ、達也君の好みのタイプって、どんな子?」

「はあ? そんなもん、ねえよ。女なんて、みんな同じようなもんだろ?」

「えー、そんな事ないよ……」

(ああ、そんな事ないかもな)と達也も内心は思った。

なぜなら、さっきの中山という少女みたいな、変わった女もいるのだから。


「そんなのはどうでもいいから、早く教えろよ」

「何だっけ?」

「だから……、中山の下の名前だよ」

達也は廊下の壁に貼られた掲示板を見るふりをし、圭介から顔を逸らすようにして言った。

「ああ、そうだったね。えーっと確か、の……じゃなかった、み……。あれ、忘れちゃった。ごめんね?」

「まあいいや。それはそうと、そんなに目立たない奴なのか?」