「うん、言ったよ。だって、中山さんは僕らと同じクラスだもん」

「そうだったのか……。知らなかった」

「だろうね。彼女、全然目立たないから」


3年になってからまだ1ヶ月も経っておらず、元々他人にあまり興味のない達也は、新しいクラスメートの顔や名前を殆ど覚えていなかった。

その上に目立たない女子ともなれば、達也が知らなかったのも無理はないだろう。

「中山ね……。下の名前は何ていうんだ?」

「あれあれ。達也君、彼女に興味持っちゃった?」

歩き始めた達也の顔色を探るように、圭介は達也の顔を覗き込んできた。

「そんなんじゃねえよ」

「そうだよね。達也君のタイプじゃないもんね?」