「そういう事だから、達也は中山さんを構うのは止めなさいよ。彼女のために」

「そうだなあ…」

そうするしかないな、と達也も思った。ところが、

「もう、手遅れじゃない?」

と圭介は言った。

「どういう事よ?」

「え? ん…よくは知らないけどさ…」

圭介は頭に手を当て、手櫛で髪をすきながら続けた。

「イジメってさ、一度始めちゃうとなかなか止まんないじゃない? 最初の理由なんか関係なくなってさ…」


達也はイジメをした事もされた事もなく、また、イジメについて真剣に考えた事もないため、圭介の話が本当かどうか分からなかった。


「たしかに、そうかもしれない…」

しばしの沈黙を破ったのは、祐子のその言葉だった。

「だったら、どうすればいい?」