「なに? 瑞希が…ピンチ?」

(え?)

祐子と圭介は同時に驚いていた。達也が“中山さん”ではなく“瑞希”と言った事に。当の本人は気付いていないのだが。


「どういう事だよ?」

「うん…」

中山瑞希を“瑞希”と呼び、今にも噛み付きそうな勢いの達也に、今度は予想外のため祐子はちょっとばかり焦った。

「い、イジメられるのよ」

「イジメ? 誰から? どうして?」


まるで理解出来ない、という様子の達也だが、圭介は“やっぱりな”と思った。

あの保健室の一件以来、瑞希がみんなから注目され、女子達が好意的とは言えない目で瑞希を見ている事に、圭介は早くから気付いていたから。