祐子が見た限り、明らかに達也の方から中山瑞希に近付いている。

今まで、こと女子に関しては常に受け身だった達也だけに、それは我が目を疑うような光景だ。

しかもその相手は、祐子がその存在にすら気付いてなかった地味な女の子。

つい数日前の化学の時間、達也が彼女を保健室に連れて行ったあの“事件”で、祐子は初めて中山瑞希の存在を知ったのだ。

ただしそれは、祐子に限らず大多数のクラスメートがそうだったのだが。


「ねえ達也。あなたどういうつもりで中山さんを構ってるの?」

最初に放った質問に、口ごもったきり答えようとしない達也に、言い方を変えて祐子はもう一度質問をぶつけた。