「じゃあ、ちょっと来て?」

そう言って祐子は歩きだし、「おお」と言って達也も後を追うように歩きだした。

圭介はニタニタ笑いながら達也にバイバイと手を振っていたが、振り返った祐子に「田代君も来て?」と言われ、慌てて二人の後を追った。


祐子は教室を出ると階段を上がり、図書室のある上の階との中間の踊り場で足を止めた。

(なるほど、ここなら誰もいないし、誰かが来てもすぐに分かるな。やっぱり祐子は頭がいいや)

と達也は感心した。


「達也は中山さんの事、どう思ってるわけ?」

クルッと振り向いた祐子が、いきなり達也に質問を浴びせて来た。

「どう、って……」

急な上に、思いもよらない質問に、達也は口ごもるほかなかった。