次の日から、達也と圭介と瑞希の3人で学校から帰り、瑞希は駅前で二人と別れて駅の反対側のアルバイト先の書店へ向かい、達也は圭介と駅前をぶらついた後、圭介と別れておもむろに瑞希がいる書店に寄る、というパターンが出来上がった。

達也は、瑞希のアルバイトの事は圭介にも誰にも話していなかった。瑞希が働く書店の2階で、瑞希と共に過ごす時間と空間に、他人を入れたくなかったからだ。

達也が瑞希の書店に行った最初の理由は、瑞希の仕事振りを見てみたいという好奇心と、少しの心配からだった。

学校で非常に大人しく、人とろくに話も出来ないような瑞希に、果たして書店の店員が務まるものかどうか、それが心配だったのだ。

ところが、店員としての瑞希は、学校での瑞希とはまるで違っていた。

例えば客から在庫などの問い合わせがあった場合、瑞希は落ち着いて、適切な対応をしていた。その姿には、確かな知識と経験に基づく自信が現れていると達也は思った。