「そう? ごめんね。でも少しは痛くないと、罰にならないからね?」

達也は微笑みながら瑞希のオデコをそっと擦り、瑞希は、恥ずかしさで頬を紅く染めた。

いつもならすぐに下を向く瑞希だが、達也との約束だから頑張ってそれを我慢した。

「お、下を向かないんだね。偉い偉い」

そう言って、達也は手の平で瑞希の頭をポンポンとした。

瑞希の顔は、熟れたトマトのように、真っ赤になってしまった。
こんな風に男性から触れられたのは、初めてだったから。



「歩きで駅まで、でいいのかな?」

「あ、はい」

「中山さんちって、どこ?」

「………」

なぜか、瑞希の返事はない。