「……そうね。仮にも実の母親だもんね」

「もしそれで裏切られたとしたら、俺はそいつらを許さない。絶対に…」

達也は、白くなるほど力を込め、拳を握り締めていた。


「住所だとこの辺りのはずなんだけど…」

春田は車をゆっくり走らせながら、周りをキョロキョロ見渡している。

「ナビ付いてないんですか?」

「そうなのよ。やっぱり必要よね…」

春田から受けとった住所を見たかぎり、瑞希の家はアパートだと思われた。

狭く曲がりくねった路地を走る内に、ようやくそれらしいアパートを見付けた。

「きっとココだわ」

古びたみすぼらしい2階建てのアパートの前に車を停めると、二人は急いで車を飛び出した。

(瑞希…どうか無事でいてくれよ?)