ところが、

「うん、ありがとう…」

と瑞希は言ったものの、その声はちっとも嬉しそうじゃないし、元気がなかった。

もっとも、瑞希に元気がないのは今に始まった事ではない。
日に日に瑞希に元気がなくなって行くのを達也は感じ、それは瑞希が勉強とバイトの両立で無理をしているからだろう。早く何とかしてやらないと、と思っていたのだ。

「嬉しくないのか?」

「ううん、そんなことない」

「だよな? いつからだ?」

「来週から」

「そっか。じゃあバイトは辞めて、勉強一本になれるんだな?」

「たぶん…」

「良かった…」

と達也は呟き、再び歩き始めた。

嬉しそうな達也とは対照的に、瑞希は不安な気持ちでいっぱいだった。