次の日の午後、瑞希は達也のマンションを後にした。

マンションのエントランスを出た所まで、達也は瑞希を見送った。

「本当に送って行かなくていいのか?」

「うん、大丈夫」

「おまえの物は全部あのままにしておくから。次に来た時のために」

「うん、ありがとう」

春田に買ってもらった諸々と、達也が買ったワンピースやパンプスも達也のマンションに置いて来た。いつになるかわからない“次回”のために。

「いろいろとありがとうございました」

「お、おお。気をつけてな?」

「はい」

制服を着た瑞希は、達也にペコンとお辞儀をし、施設へと帰って行った。後ろ髪を引かれる思いで。

達也は、そんな瑞希の後ろ姿を呆然と見つめた。走り寄って引き止めたい衝動を抑えながら。