その日の夕飯は、家で焼き肉をする事になった。

二人でキッチンに立ち、野菜を洗ったりしていると、達也のスラックスのポケットの中、携帯がブルブルと振るえた。出して見ると、春田からの着信だった。

「もしもし?」

『あ、池上君? 今、君のマンションの前にいるんだけど、中にいる?』

「はい、いますよ」

『よかった。じゃあインタフォン鳴らすから開けてね?』

「あ、いや俺が…」

“そっちに行きます”と言おうとしたら、春田から通話を切られてしまった。

「ったく…」

「どうしたの?」

「春田先生が来たらしい」

「あ、私の制服?」

「たぶんね。俺が下に取りに行こうと思ったんだけど…」

そうこうしていると部屋のインタフォンが鳴り、達也は仕方なく春田のためにエントランスの開錠ボタンを押した。