「中山さん…」

「はい?」

祐子は、自分の正面に座る、黒髪で目の大きな人形のような少女を、真っ直ぐに見つめて言った。

「達也と……寝たの?」


「そ、そんなこと…」

“してねえよ”と達也が言う前に、瑞希は顔をほんのり赤くして、「はい」と答えてしまった。

「やっぱりね!」

とたんに、祐子と圭介に達也は睨まれた。その目は明らかに、“スケベ!”とか、“嘘つき!”と言っている。

「違うんだよ。やってないんだよ…」

「女の子に恥かかせるつもり?」

「そうじゃないけど…」

「達也君、言い逃れなんて見苦しいよ?」

「おまえなあ…」

(まあ、いいか? いつかはそうなるわけだし…)

達也は説明を諦め、瑞希は3人の会話がよく解らず、キョトンとしていた。