「な…」

“何も言うなよ”と達也が言おうとしたのだが、

「学校のジャージで出掛けたくないって、私が言ったから…」

(おーい…)

「え? 中山さんって、服持ってないの?」

「そんなわけないじゃない!」

「だよね。という事は…」

「中山さん、もしかして、昨日から家に帰ってないとか?」

「はい」

『えーっ!』

(あー、うるさい)

「じゃあ、達也のマンションに…」

「お泊り!?」

「おまえ達、いちいちうるさいよ」

「だって…、ねえ?」

「う、うん。達也君達がもうそんな仲になってるなんて、びっくりだよ」

「そんなんじゃない。具合が悪い瑞希を家で、休ませただけなんだよ」

「なんだ、そうか…」

圭介は達也の言葉を信じたようだが、祐子は信じなかった。