「今のって、キスがか?」

「うん。痛くはないけど、苦しかったし…」

(キスがお仕置きだってか? こいつ、おもしろい事言うなあ。もしかして、天然か?)

「違うよ。キスはお仕置きじゃない」

「違うの? じゃあ、どうしてしたの?」

「お前が俺の前に来て、上を向いて目を閉じたから、てっきりキスのおねだりかなって…」

瑞希は、不思議そうに首を傾げた。

「どうして私がねだるの? ねだるって、それをしてほしいって事よね?」

「普通はそうだな」

「苦しいだけなのに?」

「おまえさ…、今まで誰かとキスした事ないの?」

瑞希はコクンと頷いた。

「そうか…。おまえの初めてを、勘違いで奪っちまって悪かったな?」

「ううん、それはいいけど…」

(い、いいのかよ?)