「は…じゃなかった、うん」

「あはは。あ、瑞希のジャージも洗っていいか?」

「それは自分でやりま…、やるわ」

「いいよ、ついでだから」

「すみません…」


達也が部屋を出て行くと、瑞希は本棚を眺めた。

男の子らしく少年マンガのコミックが沢山並んでいるが、小説やコンピューター関連の本も多数並んでいる。

(達也も本が好きなんだ…)

自分と同じく達也も本好きと知り、瑞希は嬉しく思った。

コンピューターはまるで解らない瑞希は、小説の本を眺めた。
純文学や翻訳本、ミステリーや恋愛小説など、特にこれといった傾向はなく、様々なジャンルの本が並んでいる。

瑞希がふと目を止めたのは詩集だった。

(達也って詩も読むんだ…)

ゲーテ、ボードレール、ハイネ、立原道造、萩原朔太郎といった古典的な作家の詩集が本棚に並んでいた。