達也は教室を出ると、瑞希が出て来るのを待って、並んで廊下を歩きだした。
……つもりだったが、瑞希は達也の後ろに隠れるようにしてしまう。

立ち止まって瑞希が横に並ぶのを待っても、瑞希は決して横に並ぶことなく、達也の後ろで俯いたまま、立ちすくむばかりだった。

瑞希は、今まで人と肩を並べて歩いた事が、ただの一度もなかったのだ。


(まったく、調子狂うなあ……)


達也は諦めてゆっくりと歩きだした。後ろを瑞希がとぼとぼと着いて来るのを、時々振り返って確かめながら。


圭介が言った通り、職員室を過ぎたところに保健室はあった。
コンコンとドアをノックすると、中から「どうぞ」と女性の声がした。