「出る術なしなのかな。あの光は通気孔だよね?地下なのかな。」
「そうね。でも人の気配は感じなかったわ。まあ私も起きたばかりなんだけどね。」
美月は手首の内側をペロッと舐めて少し考える素振りをした。
「…場所はわからないけど時間としては24時間くらいかな。
たぶんあれから丸1日寝てみたいね私達。
何かしらの薬も吸わされてるだろうね。」
「え、美月ちゃんそうゆう特技も持ってるの??」
「え?ああ、寝てても発汗はするからね。それが乾いた後の塩分濃度で大体…まあそれは今度片桐に聞いて。」
美月ちゃんもリリも沢山特技あって素敵ね。と言った後、琴音は右手人差し指の爪を通気孔の方向へ向けた。
「ああ。琴音も特技あるじゃない。それ。」
「特技じゃないわよこんなの。GPSが入ってるだけだもん。誰でも出来るよ。」
「その付け爪は琴音にしか似合わないよ。」
無表情の美月が大きな目を細くして琴音に微笑んだ。瞼を下ろすと美月のまつ毛の長さがさらに際立って見えた。