「ところで神野さん今回のギャラ、いくらか貰えます?」
「ああ。お前の計らいで逮捕されたこの自称右翼団体の男にはいくらかかってんだ?」
神野は数分前にニュース速報が出ていたワンセグの画面を指差した。
「やだなあ、知ってたんですか。」
「知らなかったが、お前がわかるように含んで話したんだろ?今。」
「ふふ。200かかってます。」
「200万で身を滅ぼす神経が理解出来んな。」
「え、まさか死刑にでもなるんですか!?」
身を乗り出すようにカズヤがテーブルに両手をついて、左手首のロザリオがカチャリと揺れた。
「しらじらしいな。こんな国でも反政府活動は重罪だろ。指導者なら極刑だ。」
テーブルの上の電球も揺れて、カズヤや神野の黒い影がコンクリートの壁に映り高速で左右している。
「神野さんて俺のことなんでもわかっちゃうんですね!
なんかちょっとヤラしー…」
「それをわかっていながら200万わたして出頭させたわけだな。」