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少女は朝食のクロワッサンとチーズとレタスをポケットに隠した。
日曜日は学校が休みのため長女と次女がいる。父親もいることがある。
気付かれずに抜け出すタイミングを図る。
今日はお野菜も食べてくれるかな。と、想像しながら誰にも気付かれないタイミングで外へ出た。
強く冷たい風邪が少女の膝丈のスカートを激しく揺さぶる。
ベンチのスペースにはどこでから飛んで来たのかスーパーマーケットのチラシや、コンビニの袋などが集まっていた。
白い猫は何分待っても現れない。
それでも少女は左手に持ったレタスを見ながら、どう与えたらレタスを食べてくれるかと想像をしていた。
チーズに巻いてあげたら食べるだろうか、クロワッサンに挟んだら食べるだろうか。
そうしながら普段白い猫が出てくる垣根を見ながら少女は待った。
「猫!!!」
長女の声がしたのはガレージの方だった。
「猫が死んでるの!」