少女は白い猫に長女とのやり取りを話した。

白い猫は少女の方に向きながら退屈そうにあくびをしたりしていて、本当は飯はまだかと待っていただけかもしれない。
それでも少女が泣き出すと、白い猫は少女の顔を覗き込んで時折、フニャァと鳴いた。
それが少女には励ましに聞こえて手を伸ばす。
そうするといつものようにビクッと飛び上がりベンチの角に逃げ込む。

それを繰り返しているうちに、

『そろそろお部屋に戻りましょう』


振り返るといつの間にか背後に少女の靴を持った長谷川が立っていた。
視線を正面に戻すともう白い猫はいなかった。

屋敷の大きな観音開きの扉の右側を開けると偶然通りかかった次女がいた。
少女と長谷川を確認した次女が口を開くより先に「お散歩ですよ。」と長谷川が微笑んで少女を部屋へと連れて行った。