日曜日。

10月にしては寒い朝だった。そして風の強い朝だった。
少女は白い猫のことが気になっていた。
普段は屋敷の隣にある屋根のついた木のベンチで会っているが、この猫はどこからともなく来るので雨の日などはビショビショになってそこへたどり着いている。
こんなに風の強い日では飛ばされてしまうかもしれない。

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『アナタいつまでいるつもり?早く出ていきなさい。』

昨晩の長女からの言葉だ。
母親とは1ヶ月も会話がなく、四女とは話すことも許されず、少女があまえられるのはあの猫だけだった。

少女はそのまま窓から外へ抜け出し、ベンチで白い猫を待った。
夜は外へ出にくいため、普段はベンチ側の窓から食事を落としていた。
昨晩はその窓から抜け出しベンチで待った。

どこからか少女の存在を知った白い猫が、フニャァとベンチの影から少女に語りかけた。
少女には『こんな時間にどうしたの?』と聞こえた。