リリは右手に持った小型の機械をポンポンと真上に放ってはキャッチしながら可那に聞いた。

「そうね。そういう意味でいい。外壁付けのやつがいいかしらね。二階だし。」

了解。といいながらリリはクローゼットへ向かった。

「そしたら琴音と美月は猪狩洗ってもらっていい?」

「車一台使ってもい??」

可那は美月に頷いて見せてキーケースからメルセデスのキーを取って投げた。

「猪狩の自宅マンション、西麻布だから張るならベンツの方が自然でしょ。」

了解。と言って美月はキーを琴音に手渡した。

「あたしと萌乃は今からリリが持ってくる盗聴器の設置と受信確認。機材車で行きましょ。」

「うん、おっけー!
てーか可那ちゃん、お茶入れ直そうか??」

「ああ、うん、大丈夫大丈夫。
…立花が気になるところだけど、本当にこっち側じゃないとしたらあたし達が下手に動いたら思う壺だし、そっちは片桐任せね。」

可那はズズッと温くなったティーカップを傾けた。 ━瞬間

「んくぁ!!ちょっと!!これアールグレイじゃないの!!
あんた達しつこいわよ!!」

じゃ、行ってきまーす。と、美月と琴音が重厚な扉を外へと開いた。