約30畳のリビングには片桐を除いた5人がいて、リリは小型の機械をいじりながら、琴音は資料を見ながら、萌乃はケータイをいじりながら、美月は新聞を見ながら、
それぞれ何かを考えているようだった。

「いつも通り、別にこの仕事は強制じゃないわ。
やるかやらないかは個人の自由だし、自分で考えて。」


「私はやるよ。聞かれるまでもない。」

と美月。

他の三人も、うん、と頷いた。

可那が背もたれの大きな椅子を左手で引くと、キャスターのキュロキュロという小鳥の鳴き声のような音が無音のリビングに響いた。

「うん、じゃ盗聴から入ろうか。金田哲のマンションは片桐の資料によると北新宿ね。」

「それはうちらに盗聴されることを予測している相手に対しての盗聴、という受け取り方でいいのかな?」