「それでさ、どうだったー?本人ー。」
リリが何やら機械をいじりながら、まるでその機械に聞いているようにボソボソと言った。
「うん、あんた達はどう思ったの?聞いてたでしょ?」
可那は黒いスーツの内ポケットからボールペンを取り出してテーブルに投げた。
ゴトッと重たい衝撃音と同時にリリが飛び上がった。
「それ駄目!コンプレッサーつけてないんだから、鼓膜破れるかと思ったじゃん!」
リリがイヤホンを耳から引っこ抜いて床に投げた。
ああ、まだ電源入ってたのねと台詞がかった口調で言いながらボールペンのスイッチをカチカチと二度押した。
「で、みんな聞いてたんでしょ?どう思った?」
可那は座らずにテーブルを囲む5人を端から見回した。
「わかんないけど、何か嫌な感じがしたなあたし。」
黒髪の方も三つ編みにした萌乃がケータイをいじりながら言った。
「そうね、直接会ってみるともっと感じると思う。全てが取って付けたような話だったわ。」