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「は?何言ってんの?資生堂はもう過去のものよ!今じゃおばちゃん向け美容品会社だよ。」

「ちょ!おばちゃん向けって!」


カチャ━

「ただいまあ。もう1日中ヒールで足パンパンだよ。」

事務所の重厚な扉が開き長身の美女が腕をダラリと前に垂らしながら大きなため息をつく。


「可那ちゃんヒール履くと巨人だよね」

リリがティーカップを可那が座るであろう席に置いた。


「は!?巨人て何よ!!そんな!170センチくらいしかないわよ!」

ギロリとリリを直視した可那は、獲物の鹿を見つけた時の豹そのものにも見えた。


「や、素足で170越えてるでしょ。」

「そうだよ、それはさすがにちょっと強引だと思うよ可那ちゃん。」

美月の発言に萌乃が続いた。


「越えてないわよ!170センチ丁度くらいよ!」

「いいじゃない背高くて顔小さくて美人で頭もよくて、私可那ちゃん憧れるよ。」

琴音が柔らかい笑顔で可那の荷物を受け取ってティーカップの前へ促した。