「私は!!妻をレイプされた上、その子供も大切に育ててきた!
二人とも愛していた!それを奪われたんだ!
殺したいと思って何が悪い!!」
可那はコトンとアイスコーヒーをゆっくりと置いて一息ついてから猪狩を見上げた。
「良いか悪いかという話であれば、悪いでしょう。殺人ですからね。
そしてここは一般のカフェで、大きい声でこれ以上この話をなさるのであれば帰らせていただきますが。」
猪狩はしばらく立ち尽くした後、
「…申し訳ない。ただ…悔しくて。本当に悔しくて。」
猪狩は先程とは真逆の、存在ごと消えてしまいそうな声で訴えた。
「お気持ちお察しいたします。憎いから殺すと、そういう理解で間違いないでしょうか?」
可那は真っ直ぐに猪狩を見た。
「…。そうゆうことで間違いないです…。」
猪狩が伏し目がちに言うと可那がすかさず口を開いた。
「わかりました。それでは受取人の変更の件、よろしくお願いいたします。
三日後、こちらから連絡いたしますので、全ての準備を終えておいてください。」
「引き受けてもらえるのですか!?」
可那は無言で立ち上がり伝票を持ち会釈をしてその場をあとにした。