長女と次女は夕紀を『夕紀さん』と呼び、四女は『ゆきちゃん』と呼ぶ。
『ママ』と呼ぶのは三女だけである。
三女は必ず姉妹の輪から離れている。
庭で水遊びをする姉妹達、長女と次女が末の四女に水をかけたり、時にはかけられたり、
それを温かく見守る母親。
噴水の反対側でそれを見つめる三女。
夕食後、暖炉の前で長女の膝の上の四女に絵本を読み聞かせる次女。
離れた薄暗い場所のソファで絵を描く三女。
それでも長女と次女が学校に行っている間は、幼稚園から帰ってきた三女と四女は、とても仲良く絵本を読み合ったり、おままごとをしたり二人とも本当に楽しそうに午後を過ごす。
そして四女は三女を『お姉ちゃん』と呼ぶ。
長女と次女は三女に話しかけることはほとんどなく、父親や母親、家政婦や執事にも三女のことは『あの子』と言う。