その洋館は半島の中心の山林にあって、『坪』ではなく『ヘクタール』の方が伝えやすいほど、広大な敷地の中心に建つ洋館。

その洋館を囲むように季節の花が咲き、
噴水では裸の女性の像が持つ壺から水がやわらかく流れる。

さらに外側を囲むように何体もの女性の像が周囲の様子を伺うかの様に外側を向いている。

そして立ち並ぶ木には、本当に周囲の様子を伺うためだけの存在である監視カメラがこの周りだけでも12台設置されている。



ここに父母と四人の娘達、それに二人の使用人が暮らしていた。





父親の前妻は骨髄の病気で他界した。
三年前の春だった。

末の子はまだ一歳になったばかりだった。
父親が再婚する半年前までは、家政婦の芳乃が母親の代わりを務めた。



現在は14歳、12歳、5歳、4歳の4人姉妹で、
再婚相手である夕紀がこの4人の母親である。