「金田哲って誰?テツ?サトシ?サトル?」

「それが近藤さんの本名なんだね。」

「はは!リリがハッキングしたんだな。そうだ、これが近藤勇の本名だ。」

片桐が美月とリリを交互に見ながら金田哲という文字を指差した。

「うん、ハッキングで挑戦状を受け取るとは思ってなかったけどね。」

と言ってズズッとアイスレモンティの氷の穴をリリが吸っている。

「挑戦状?それでこれなに?カネダテツ?」

「サトシだ。可那はまだ内容聞いてないよな?」

「ええ。琴音もね。近藤勇は誰?」


説明してやれと片桐は席を立ってカウンターに座った。

可那と琴音が事務所を出てから3人がこのカフェに来るまでのあらすじを萌乃が小声で説明している。
カウンターには声は届かず片桐は「里果」と呼んでカウンター越しにニタニタしながら里果と話している。
話しているというよりはセクハラといった内容だ。

子熊は洗い物をしながら一字一句聞き逃すまいと二人の会話を盗み聞きしていて、ひとつのグラスをもう何分も洗っている。

「それって、どうゆうことなのかしら?」

聞き終えた琴音が質問を投げ掛けた。