「お疲れー!早かったのね?打ち合わせ。」

「私の才覚と琴音のいやらしさがあれば、商談なんてヨユーなの。」

「才覚…」
テーブルの三人の声がユニゾンした。


「なによアンタ達!」

あははは!と萌乃が笑うと同時にカランカランと男が扉を開いた。

「あら、片桐さんお久しぶりねえ。」

と里果が声をかけると、片桐がハグをした。 カウンター越しの子熊がチラチラとその方向を見ていて、

「マスター、人殺しの目になってるよ。」

と美月に注意される。毎回の光景だ。


「お、みんな揃ってるね。あ、俺ホットミルクね。」

片桐は黒のシングルスーツの上に羽織った黒いトレンチコートを里果に手渡して、
これ、と言って片桐はA4サイズの封筒をテーブルに置いた。
可那が封筒の紐をクルクルと軽快にほどくと中から三枚を取り出した。